より良い世界のためのデザインを読んだ
誰のためのデザイン?であまりにも有名な著者ノーマン先生の新作が出たということで読んだ。
結論から書くと、個人的にはまずまずの内容だった。抽象的な話が多くメッセージ性はあってそこは良かったけど、中身は割と「そうだよね」って言う内容が多い印象だった。
- 人間中心設計から人間性中心デザインに変えていこう
- 地球規模でデザインを考えよう
というのがざっくりメッセージではあるのだが、多分日々生活している中で、みんなが薄々気づいているよねという内容が多かった。
例えば企業がサービスを提供する際に、耐用年数の短いものを意図的に製造してすぐに破棄できるようになっている。そうしないと企業が儲からない、ビジネスが回らないという話がある。これは環境に良くないと認識しながら行っている行為で良くないので、自動車だったらカーシェアのようなサービスでデザインの考え方を変えているなどがある。他のサービスも同様に考えないといけないと主張していた。その通りとは思う。
エンジニアに近い話として、生産性の話がありコード量が一行でも多いとアウトプット力が高いとされがちだが、実はそれは生産性が良いということにはならないと書かれていた。これが成り立つと、コードの量が多くなればエラーが増える→デバッガーの仕事が増える→デバッガーの検証量(アウトプット量)が増える→評価されるという構図になってしまう。よく「量より質が大事」と言うがまさしくその通りの内容が書かれていた。そして評価というのは、曖昧なものを数値化して測定するケースが多いとノーマンは言っている。
一度数値化してしまうと、文脈を失うことがあり意味を失ってしまうことになる
この言葉は常に頭に入れておいた方が良いと改めて感じた。GDP(国内総生産)の例も同時に書いてあったが、まさに経済状態をたった一つの良くわからないものを数値化して隠蔽して隠しているのだ。
ノーマン先生はダッシュボードで細かい数値を可視化することが重要と言っているが、人類は楽するあまりにもたくさんな色々な複雑性を変数や数値にして隠蔽しているからちゃんと可視化しろいうのを言いたいんじゃないのかなと思った。
デザイナーは様々なコミュニティに支援、手助けする助言者になる必要がありデザインを民主化することが必要があると書かれていた。そのためにはアクセスのしやすさが必要と書かれていてその通りと思いながら設計したり実際に、対応していくとなると色々と考えることが、多くて難しいなとも感じた。エンジニアのアジャイル開発の手法を例に同じような方法をデザイナーもやっていくと良いとも書かれていうのは良かった。書籍では「斬新的モジュラーデザイン」という言葉で書かれていたが、小さくインプットとアウトプットを作っていくことが大事なのはエンジニアと変わらない。
学校教育についても触れていて、もう年齢ごとに学ぶという概念は辞めて、学びたい人が学べる環境を作ることが大事とか個別ではなくチームワークの大事さを学べるようにすべきということも書いてあった。以前からそういう意見は聴いたことはあるが、いよいよ思考を変える時が来たのかもしれないなと思った。